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電子マネーの基礎知識

  プリペイド(前払い)方式

   Edy
   Suica
   PASMO
   nanaco
   WAON

  ポストペイ(後払い)方式

   iD
   QUICPay
   Smartplus/Visa Touch
   PiTaPa



Edy


「シャリーン♪」という音とともに支払いが完了
非接触の電子マネーの中で、一番最初に実用化されたのは、Edy(エディ)である。Suicaとよく比較されてきたが、Suicaはもともと鉄道を利用するためのIC乗車券として開発され、そののち買い物にも使われるようになった。
そのためSuicaは駅ナカなど、JR東日本圏内の駅周辺の利用が中心だが、Edyは全国のコンビニ、スーパー、ドラッグストアをはじめ4万9000店舗の加盟店で幅広く使える。
Edyはチャージしてから使う前払い(プリペイド)型の電子マネーだ。使い方は簡単。Edyカードやおサイフケータイを端末にタッチするだけ。「シャリ〜ン」と音がすれば支払い完了で、現金を出すよりもずっと早い。



Suica


乗車にも買い物にも大活躍の交通系カード
読み取り部分にカードをかざすだけで改札を通過できるSuica。JR東日本と東京モノレール、東京臨海高速鉄道に加えて、JR西日本のICOCA、首都圏の私鉄・地下鉄・バスで使えるPASMOとも相互利用できるすぐれものだ。乗車券としてだけでなく、買い物もでき、利用できる店も「駅ナカ」から「街ナカ」へと拡大中。発行枚数は1900万枚を超え(2007年2月28日現在)、生活にすっかり浸透しているといっていいだろう。



PASMO


PASMOとSuicaの相互利用で首都圏を制覇
「首都圏を1枚のカードで乗りこなせたら」――そんな便利なカードがあったらと思っていた人はたくさんいたはず。その願いは3月18日にかなえられた。
この魔法のカードの名前はPASMO。PASMOというのは首都圏の交通事業者54社局(将来は101社局)が共通で発売するIC乗車券だ。
PASMOを使えば、首都圏の私鉄、地下鉄、バスに乗れるだけでなく、Suicaと同じシステムを採用しているため、首都圏のJR東日本の区間や東京モノレールにも乗れるようになる。
PASMOはSuicaと同様、改札機の読み取り部にタッチするだけで通ることができる。最大2万円までチャージして使え、定期券の乗り越しも改札機にタッチするだけで自動的に精算されるので、精算機に並ぶ必要はない。
さらにSuicaと同様に「駅ナカ」や「街ナカ」の加盟店で買い物にも使うことができて便利だ。PASMO加盟店がいくつも誕生しているが、すでにあるSuica加盟店でも利用できるので使い勝手はよい。



nanaco


滑り出し好調! 約50日で300万件突破
4月23日に東京地区のセブン-イレブン1500店で始まったセブン&アイ・ホールディングスの電子マネーnanacoのサービス。5月28日には全国の1万1700店で利用できるようになりましたが、約50日で早くも300万件の会員を集める人気で、年間目標の1000万枚の約3分の1を獲得する好調な滑り出しとなっています。
nanacoには、ソニーが開発した非接触IC「フェリカ」が搭載されています。非接触ICですから、カードを読取機にかざすだけで、レジで40秒かかっていた支払い時間(セブン-イレブン)を、約10秒間短縮することができました。
例えば混雑時に行列ができることもありますが、スピーディーな決済により、お買い物がよりスムーズになってきます。さらに、事業者側にとっては、電子マネーの導入で現金のハンドリングコストが軽減されるため、事業コストの削減に繋がると期待されています。
また、プリペイド型ですから、最初にチャージ(入金)しておけば、何度でも利用できます。最大2万9999円まで1000円単位でチャージすることができます。チャージは店内のレジで行ないますが、ゆくゆくは店内に設置されたセブン銀行のATMでも可能になるといいますから、さらに便利になるでしょう。



WAON


イオン独自の電子マネー
nanacoに対抗するように、イオングループは4月27日から、独自の電子マネーWAONを発行し、関東1都6県と新潟県の一部のジャスコ、マックスバリュの合計96店舗で利用できるようになりました。直前まではスタートが夏くらいまでずれ込みそうだと噂が流れていましたから、nanacoの登場に急遽ぶつけようとなったようです。
WAONも、nanaco同様に非接触IC「フェリカ」を搭載しており、プリペイド型でSuicaと同じく最大2万円まで入金が可能です。入会するには300円(税込)が必要ですが、nanacoとちがって、入会時に氏名を記入する必要がないために気分的にラクです。
WAONは1年間で800万枚の発行を予定しており、2009年2月までにはグループの約8000店とショッピングセンター(SC)のテナント約1万5000店の合計2万3000店に導入する計画です。



iD


おサイフケータイの進化したかたち
iDは、NTTドコモのケータイクレジットのブランドとして誕生したポストペイ(後払い)型の電子マネー。iD機能が入ったおサイフケータイやクレジットカードをレジなどに置いてある読み取り機にかざすだけで買い物ができる。
Edyのようにあらかじめ現金をチャージする手間がなく、クレジットカードのようにサインをする必要もなく、クレジットカードと同様に、買い物をした後にその利用額が銀行口座から引き落とされる仕組み。ただし、利用するに当たってはクレジットカードが必要となる。
当初、このiDを利用しポストペイで決済できるカードは三井住友カードのみだったが、いまではクレディセゾン、イオンクレジットサービスなどでも決済が可能となり、利用できるカードが増えている。また、コンビニや家電量販店、自動販売機、そしてタクシーなど利用できるところも増えており、ケータイクレジットの中では普及度合で群を抜いている。
さらに、最近では三井住友カードが一歩先を進み、クレジットカードにiDを搭載した三井住友カードを発行。このカードをレジなどに置いてある読み取り機にかざすだけで支払いができるサービスをスタートさせた。携帯電話をなくしたときのことを考えると、おサイフケータイを使うには抵抗があるという人には朗報といえる。



QUICPay


チャージの手間が不要 0.7秒で支払い完了
QUICPayは、プリペイド型の電子マネーと異なり、クレジットカードと同じように使った分だけ後から支払うポストペイ型のサービス。プリペイドタイプと異なり、事前にチャージしなくてもよいところが特徴。カード型とQUICPayアプリを登録したおサイフケータイがあり、それぞれレジなどに置いてある読み取り機にかざすだけで支払いができる。
プリペイド型電子マネーのように買い物の前に残高を気にしたり、残高不足のときに現金やクレジットカードからチャージして使うというひと手間がかからない。
カードの中に使わないお金が貯まったままという効率の悪さがないのもよい。それにサインレスなのでレジの前で小銭を出す・受け取る時間がなくなるため、支払いが早くすむ(決済速度は通常0.7秒)。
加盟店に設置される読み取り機はクレジットカード用の端末に非接触IC用のリーダー/ライターを取り付けて行うため、レジの操作方法もクレジットカードを取り扱っているお店であればまったく問題ないところが強み。2008年3月までに加盟店を10万店(現在3万店)に増やす計画。



Smartplus/Visa Touch


利用可能額もクレジットカードと同じ
Smartplusはポストペイ型のUFJニコスが開発した電子マネーだが、ビザ・インターナショナルも、このSmartplusを仕立て直してVisa Touchという電子マネーをスタートさせている。名称こそ異なるが、SmartplusもVisa Touchも違いを意識せずに使えることを、まず覚えておこう。
SmartplusとVisa Touchが他の電子マネーと決定的に異なることは「クレジットカードのユーザーインターフェースを非接触に変えただけということ。つまりSmartplusはクレジットカードそのものなので、クレジットカードでできることはすべてできます」(UFJニコスIT事業部鳴川竜介部長)という。
たとえば提携している昭和シェル石油のシェルスターレックスカードを使って給油すると、利用者のランクに応じてガソリン・軽油代がキャッシュバックされる。
この割引サービスはシェルスターレックスカードを親カードとしているVisa Touch/Smartplusでも“あとで代金を請求するとき”ではなく“その場”で提供される。利用者から見れば当たり前のように思えるが、実は“クレジットカードそのもの”だからできること。
またこれも利用者はあまり意識しないだろうが、Smartplusは他の電子マネーと異なり、レジに置いてあるPOS端末(どの商品がいつどのくらい売れたのかを細かく集計できる端末)と連動させることが容易なため、店側も導入するメリットが大きい。
Visa Touch/Smartplusは事前にお金をチャージしなくていいポストペイ型。その代わり、対応したクレジットカードを保有していなければならない。Visa Touchはディーシーカード(4月からUFJニコスと合併して三菱UFJニコスとなる)のDC VISAカードが採用している。Smartplusに対応しているのはUFJカードとNICOSカードだ。
年会費は無料で、利用限度額はクレジットカードの利用可能枠と共通。クレジットカードのポイントも貯まる。1回の限度額も利用可能枠の範囲内(ただし99万9000円まで)なら制限はないが、3万円を超える決済と、利用額が合計5万円を超えたときに次の決済でオンラインでカード会社に問い合わせる(承認処理を行う)。



PiTaPa


PiTaPaの交通割引を賢く使いこなす
関西圏の交通系電子マネーには2種類ある。首都圏のSuicaにあたるのがICOCA(JR西日本)、PASMOにあたるのがPiTaPaである。
しかし、PiTaPaとPASMOには決定的な違いがある。PASMOがSuica・ICOCAと同様のプリベイド(前払い)方式なのに対し、PiTaPaは世界でも前例のないポストペイ(後払い)方式をとっている点だ。毎月1日から月末までの利用金額が集計され、翌々月に銀行口座から引き落とされるクレジットカードと同様の方式のため、PiTaPaを入手するには審査をパスしなければならない。
PiTaPaの審査は通常のクレジットカードほど厳しくないといわれているが、それでも発行までには1〜2週間程度の時間が必要。駅の券売機などで入手できるICOCAのような手軽さはない。